雑誌「オレンジページ」などで特集が組まれるほど、東洋医学は、普段の生活で身近な存在になりつつあり、関心の高さを伺い知れます。よく「皮膚は内臓の鏡」と言われますように、肌の色、温度、湿度、そして声の調子や脈の強弱・浮沈・速さなど、お身体の調子を見事に反映させています。
患者さんのお身体から発進されるこれらのメッセージをしっかり観察して、施術のプログラムを組む重要な手がかりとするのが、脈診流経絡治療の基礎となります。
人間の身体には、十二本の経絡が手や足、内臓、頭と、くまなく巡っています。東洋医学(気の医学)では、この経絡のどこかで不調和(気の不足や滞り)が発生すると、体調に変化が現れ、進行すれば病として現れると考えます。
問題のある経絡上の「ツボ」に、接触程度のはりをするだけで、その経絡で繋がっている内臓や脳、神経などにも作用して筋肉や神経の緊張が緩むため、不安感や疲労感が心地よく解消され、リラックスしてお受けになれるのが脈診流経絡治療の大きな特徴と言えましょう。
身体がリラックスモードに変わると、どんなことが体内では作用するのでしょうか。鍼灸施術で、交感神経の過度な緊張を緩めることができます。カチカチの筋肉を柔らかくして血行を良くし、身体全体が心地よく温って気持ちよくなります。
精神的ストレスや過労が続きますと、交感神経が優位に働き、緊張が持続されて疲れていても眠れない状態に陥ったりします。随伴症状として、頭痛・肩こり・腰痛・めまい・耳鳴り・便秘・下痢・胃痛・高血圧・生理不順・うつ症状・パニック障害などを引き起こします。
ここで、副交感神経の働きを上げてバランスを取ることで、よく眠れるようになり、疲れが取れやすくなります。その結果、疲労から来る諸症状は消失します。また、体内では白血球が活発に働き、とくにリンパ球の数が増えると、病気に対する抵抗力や免疫力が上がって風邪などの病気にかかりにくくなるのですす。
普段からストレスに対応でき、疲労回復を上手に行なって健康維持を図るには、このようなはりきゅう施術を継続することで、リラックスモードに切り替える生活習慣を身につけることが大切です。
ですので、具合が悪いときにだけ施術を行なうのではなく、東洋医学本来の治療法である「未病治」として健康維持のお手伝いができたら、と考えています。